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 朝霞』(1973年5月)


『朝霞』には、次の作品が収録されています。


・小説・ ・叙事詩・
・特別観衆…段瑞夏  
・暗礁…士敏
・朝霞…史漢富
・底脚…趙自
・弾着点…呂興臣
・小海蛟…劉本夫
・青勝于藍…盛華海
・補考…黄 佳
・理想之歌…劉陽  華
・助手…于炳坤 呉勝昔
・竜 虎…張斤夫
・初春的早晨…清明
・ 較量(長編選載)…李良烈 兪雲泉
・紅色下伸店(革命故事)… 陽文

弧光○爛…袁軍
三○棗樹…仇学宝


  

 特別観衆  段瑞夏

登場人物
 李長春…元兵士。現在、無線電機工場の音響技術士。英雄人物。
 蘇琪  …五・七幹部学校を経て、現在、無線電機工場の音響技術士。英雄人物に感化される。
 鄭大雄…舞台俳優
 林纓  …鄭の先生。李長春とも面識がある。

あらすじ
 李長春と蘇琪は観劇して音響設備に問題があることを発見し、文芸講話三十周年記念講演までに、新しい設備を完成することを鄭大雄に約束する。
 李長春の活躍で、予定通り、機械は完成する。


 暗礁
登場人物
 秦華…新来の測量船副組長。英雄人物。共産党員。25才。女性
 朱山虎…測量船組長。仕事熱心だが、配慮が足りない。34さい
 陶有才…朱山虎の助手。
 肖世海…朱山虎の助手。秀才とよばれる。

 沈水根…漁民

あらすじ
 文革開始後、近海に石油があることがわかり、測量船の組長朱山虎は、半月以内にその航路にあるはずの暗礁を探し出すよう命じられる。ところが、この任務のために派遣された新任の副組長・秦華が年端もいかぬ女性だと知り、彼は内心大いに不満を感じていた。
 測量航海が始まり一週間が過ぎたが、依然として目標の暗礁は見つからなかった。秦華は大衆に学ぶべきだとして、島の漁民にその場所を教えてもらうことを 朱山虎に提案する。彼は漁民が知っているはずはないと思ったものの、残りの時間がわずかだったのでしぶしぶ同意した。
 秦華は島に上陸した後、すぐに漁民とうち解け、この近海のことならなんでも知っている漁民・沈水根が銀花島に住んでいることを教えてもらった。秦華は銀花島の老水根を訪ね、暗礁の位置をようやく探し当てた。
 朱山虎は、自分が現代的な機械にのみ頼り、大衆を信頼していなかったことを自己批判し、まず思想上の暗礁を探し出してはじめて、海洋の暗礁も見つけだすことができることを、今回の任務を通して理解したのだった。


 朝霞  史漢夫
登場人物
 私(張)…教師を募集するため上海から海島農場にやってくる。女性。
 牛車の娘…農場の副連長。
 葉紅…農場で働く女性。英雄人物
 趙おじさん…葉紅の名付け者。開拓戦士。

あらすじ
 「私」は、農村に下放中の知識青年の中から教師を募集するため、海島農場にやってくる。農場に行く途中で出会った女性に、葉紅というすばらしい女性がいるのをきく。
 「私」は葉紅に教師として働くよう説得に行くが、彼女は「教師という仕事だけが祖国の未来、中国革命の責任を負っているのではなく、どの職業も同様の責任を負っているのだ」といい、あくまでも土地に残ろうとする。
 自分で応募してきた学生によって、教師募集の人数はすでに定員に達してしまう。「私」は明日農場を離れることになる。その夜、思いもかけず葉紅が「私」 の部屋を訪れる。葉紅は現在の社会の、下放青年に対する見方——優秀な学生は農村から都市へ戻ることができ、農村に残っているのは見込みのない学生ばかり だという見方——を批判し、農村に残り農業に従事することの社会的意義を説く。
 「私」は彼女の考えに感銘をうけるとともに、自分も国家のために何ができるかを考えながら、農村を
去っていく。


 底脚  趙自
登場人物
 李国英…造船作業所の総支部書記。30才すぎの女性。英雄人物
 ふとっちょ…李国英の同僚。冗談好き。老劉の妻
 老劉…基礎建築組組長。大衆の意見を聞かない。
 関師傳…李国英の師傳。
 老梁師傳…現在退職している。関師傳、老劉の師傳。工場に詳しい。


あらすじ
  造船作業所の総支部書記・李国英は作業を効率化するため、工場内に車を走らせることを提案するが、組長の老劉は車が電線やガス管が集中している禁区を走るのではないかと心配し、許可しない。
 李国英らは工場に詳しい老梁先生にどこまでが禁区かを調べてもらい、車が十分通れることを証明する。老劉はそれを知り、自分が制度ばかりを大事にし大衆の意見を聞こうとしなかったことを反省する。


 着弾点  呂興臣
登場人物
 肖坦克…新兵。
 劉柱連隊長…英雄人物。


あらすじ
 新兵の肖坦克が属する第六班は射撃訓練で優秀な成績を収めるが、劉連隊長は即座に射撃訓練を中止する。坦克は団長の指令が理解できないでいた。彼の射撃は最後の一発のみ的を外したとはいえ、最初の五発はすべて的の中心に当たっていたからである。
 坦克は連隊長の考えを聞き出すために彼のところへ行く。連隊長は坦克が最後の一発をおろそかにしたことに関して、これは単なる一発の弾丸の問題ではなく 二つの路線の闘争の問題であることを諭す。「君はこの弾丸を発射させた思想がなんであるかを見極めなければならない。その後でこの思想がどの路線に属して いるかをよく考えて、その中から認識能力を高め、路線闘争の自覚を高めるんだ。こうしたことこそが我々の射撃訓練の根本的な目的なんだよ」。
 坦克は連隊長の話を聞くとすぐに雨の中外へ飛び出し、自分が最後に放った弾丸を探しに出かける。
彼はその弾丸を記念とし、思想面での「優秀」があってはじめて、技術面での「優秀」が保証されることをいつまでも忘れないように決意した。


 小蛟海  劉本夫
 
登場人物
 私…呉小剛。国共内戦の英雄。
 趙大魁…「私」の戦友。民兵営の営長。
 小蛟海…趙大魁の息子。

あらすじ
 部隊の命令で龍港大隊民兵営へ向かった「私」は、その途中で子供の一群に足止めを食らう。どうやら子供たちは「私」をスパイだと思いこんだようで、その中のリーダー格らしい子供があわてて民兵営の営長を呼びに行った。
 民兵営の営長・趙大魁と「私」が昔からの戦友であり、さらに「私」が解放軍の有名な戦士であることがわかると子供たちは一斉に歓声を挙げ、疑ったことを素直に謝るのだった。
 「私」は営長を呼びに行った先ほどの子供が趙大魁の息子(小蛟海)だということを知る。小蛟海は早く民兵になりたかったが、父親は彼がまだ小さいので許 可しない。「私」は子供の積極性を否定するのは良くないと考え、彼を「候補民兵」に任命し、さっそくその夜、小蛟海に歩哨の任務が与えられた。
 激しい雨の降る中、小蛟海は「私」のすすめにも関わらず、雨を避けようともしないで任務を無事完了した。
 「私」は新しい世代が毛主席の養育のもとで立派に成長していることに驚くと共に、大変誇らしい気持ちで一杯になった。


 青勝于藍  盛華海

登場人物
 揚春霞…春雷時計工場で働く女性。英雄人物。
 何金生…揚春霞の先生。男性。
 陳福康…陳福康の先生。男性。すでに退職。
あらすじ
  時計工場で技術点検が行われる。陳福康は揚春霞の卓越した技術とマルクス、レーニン、毛沢東著作を真剣に読んでいることに感心する。


 紅色下伸店  訴陽文

登場人物
 周為農…下伸店の店長。共産党員。英雄人物
 李志強…下伸店に新しくやってきた若者。
 曹阿四…投機分子。下伸店を妨害しようとたくらむ
 
あらすじ
 李志強は新しく下伸店に配属されたが、農作業などもあり仕事は思ったより大変であった。店主の周為農に命じられ生産部隊に農薬を届けに行くが、途中で曹 阿四にだまされそうになる。李志強は周為農に話を聞き、商店はなにより貧農に奉仕するべきであることを学ぶ。


 補考 黄倍佳

登場人物
 呂先生…高校教師。
 江勇剛…高校生。英雄人物
 何志学…高校生。

あらすじ
 大晦日にある高校で物理の試験が行われる。成績優秀で真面目な江勇剛が試験に遅刻し成績も悪かったことに担任の呂先生は不審を感じた。呂先生は江と仲の 良い何志学に彼のことを聞いてみた。すると江は最近、近くの生産隊で文盲の農民のために、識字クラスで字を教えているらしいことがわかる。何志学は試験の 準備のため、識字クラスはしばらく休んだ方がよいと考えていた。呂先生は二人の生徒の態度の違いには、思想面での重要な問題が隠されていることを感じ、午 後の授業でこの問題について話し合うことにする。
 午後の授業が始まると、思いもかけず江勇剛が教室へやって来た。江は先生に今回のテストの成績が悪かったことを反省しようとしたが、そこへ向陽生産隊、 向東生産隊の二人の隊長が教室へ入って来て、江の成績が悪かったのは、彼が農民のために各家にスピーカーを取り付けていたからだと説明する。県委員会が各 生産隊に通知を出し、党中央、毛主席の声がいつでも聞けるように、元旦の前までに各家にスピーカーを取り付けるよう要求していたのだった。
 二人の生産隊長の話を聞き、呂先生をはじめ生徒たちみんなが尊敬の目で江勇剛を見つめた。何志学は自分がテストの準備のためになら下層貧農への奉仕を休 んでいいと考えていたことを反省し、呂先生もまた、生徒を教室に座らせるだけで、実践の中で知識を生かすよう指導しなかったことを反省した。
 元旦を迎え、放送局から《東方紅》が放送された。《東方紅》は幾多の山川を越えて祖国で遍く放送され、向陽生産隊、向東生産隊の各家のスピーカーからも大きく鳴り響いた。


 理想の歌 劉陽 華丹

登場人物
 章棟明…政治委員。37年前(1936年)に共産党青年団に入団。英雄人物
 黎明…章棟明を青年団に紹介した女性。「ヒメユリの歌」を歌っていた。現在生死不明。
 小芳…病院の看護婦。青年団の一員。
 周雲雲…病院の看護婦。歌が好き。青年団に入りたいが認められない。
 
あらすじ
 政治委員の章棟明は病気療養のため医療所に入院するが、そこで彼は自分にとって大変思い出深い歌、「ヒメユリの歌」を耳にした。この歌を歌っているの は、青年団の演芸隊に入りたがっている周雲雲(女性)という看護補助員だった。彼女は演芸隊に入るという「理想」にあまりにも夢中なため、本来なすべき業 務を怠ってしまう。
 1936年夏、15歳の章棟明は地主からの追跡を逃れ紅軍に参加し、看護班に配属された。看護班の班長は17歳の黎明(女性)だった。彼女が戦士を励ま すためによく歌った歌こそ「ヒメユリの歌」だったのだ。章棟明は当時、兵士として戦闘に参加したかったのだが、黎明に革命事業はそれぞれが自分の分担に責 任を持ってはじめて成功すると諭され、看護もまた革命の戦闘であることを認識した。
 章棟明は周雲雲に黎明の話を聞かせ、若者が持つべき真の理想とは何かを考えさせる。周雲雲はきっぱりと演芸隊をあきらめ、一生看護補助員として国家のた めに尽くそうとするが、意外にも党からは演芸隊に入隊するよう命令が下る。彼女は党と毛主席の期待を裏切らぬよう宣伝工作に努めることを決意した。